診療科・部門

心臓血管外科

診療科紹介

診療科紹介 心臓血管外科

当院では11名の循環器内科医と5名の心臓血管外科医がひとつのチームとなり『心臓血管センター』を構成しています。近年、循環器疾患における内科治療と外科治療の境目が判然としなくなってきております。大切なのは“より安全で高い効果が得られる治療を確実に行う。”ということではないかと考えます。一人ひとりの患者様に対して経験豊かな循環器内科医と心臓血管外科医がチームを組んでオーダーメイドの治療を行います。安心して治療を受けていただき、最大限の社会復帰が果たせますようにお手伝いさせていただきます。仁愛の精神をもとに、より安全で確実な循環器治療の提供を目指していきます。

主な症状・対象疾患
  • 患者負担の少ない低侵襲心臓血管手術
    • 人工心肺を使用しない冠動脈バイパス手術(OPCAB オフポンプバイパス)
    • 小さな傷の心臓手術(MICS ミックス
    • 大動脈瘤のカテーテル手術(TEVAR/EVARステントグラフト)
  • 自己弁温存手術(弁形成手術)
  • 緊急心臓血管手術(急性大動脈解離,急性心筋梗塞の合併症等)
  • 心原性脳梗塞に対する心臓手術
  • 不整脈手術(心房細動に対するメイズ手術、ペースメーカー・除細動器植込術等)
  • 重症心不全や肺塞栓症に対する外科的治療
心臓病の治療をもっと身近なものに
-「怖くない」心臓手術・小切開心臓手術:MICS ミックス

はじめに

心臓病・大動脈瘤はがん・脳卒中とならぶ日本人3大死因のひとつです。そしてほとんどの心臓病・大動脈瘤は治療によって完治が期待できる病気です。しかし、皆さんは心臓や大動脈瘤を手術すると聞くとまずは「怖い」と思うのではないでしょうか?もちろん、手術を自分が受けるとなればどんな手術でもある程度心配にはなるのでしょうが、他の手術(消化器や整形外科など)と違う恐怖感、自分の心臓という生命そのもののようなところに手を加えられるということに対する根源的な怖れを感じ、どうしても先延ばしにしてしまうのです。

私は現在、残念ながら心臓病に冒され手術が必要となってしまった方々が、手術に対する恐怖感が原因で治療を受けられずに手遅れになってしまわないよう、「怖い」と思わずに手術を選択できるように様々な方法を駆使して治療を行っています。ここではMICSと呼ばれる小さな傷の心臓手術についてご紹介しようと思います。

小さな傷の心臓手術(小切開心臓手術:MICSミックス)

かつて全ての心臓手術は胸骨正中切開と言って胸の中央にある胸骨という板状の骨を全長に切開して行っていました。傷も喉元からみぞおちに至るような大きなものでしたし、切った胸骨がくっつくまでの数か月間は運動制限や創の痛みで困ることも少なくありませんでした。それを改善すべく「胸骨をあまり切らない」もしくは「まったく切らない」心臓手術を行っています。対象となるのは主に弁膜症と言って心臓弁の働きが悪くなる病気ですが、先天性心疾患や心臓腫瘍も対象となります。
当科では患者さんの体型や病気に合わせて細かく切開を変更することで最小限の皮膚と骨の切開で手術が出来るようにしています。

右小開胸によるMICS術後の患者さん
正面から見ると創はほとんど見えません

これらの病気は心臓の中を治療する手術なので人工心肺の使用と心停止はどうしても必要ですからその負担は避けられません。しかし皮膚や骨の切開を極力減らすことで創の痛みで術後の回復が遅れることが少なくなりましたし、なにより患者さん自身、創が小さいことを非常に喜んでくれます。創が小さくて目立ちにくいというだけで手術への「恐れ」はずいぶん減るものなのです。

興味を持たれた方はぜひ、ご相談ください。

日本低侵襲心臓手術学会認定低侵襲心臓手術(MICS)認定医
海老名総合病院 心臓血管外科 柴田 講

当院は次の施設認定を受けています。
  • 厚生労働省指定臨床研修病院(従病院)
  • 三学会構成心臓血管外科専門医認定機構基幹施設病院
    三学会→日本胸部外科学会・日本心臓血管外科学会・日本血管外科学会

外来担当医表

海老名メディカルプラザ 外来担当医表

医師紹介

小原 邦義(おはら くによし) 顧問(略歴紹介)
大学 前北里大学医学部 心臓血管外科学教授
日本大学(1969年卒)
資格 医学博士
日本心臓血管外科学会 心臓血管外科専門医
日本胸部外科学会 認定医・指導医
日本外科学会 認定医・専門医・指導医
日本循環器学会 専門医
日本心臓血管外科学会 国際会員
日本胸部外科学会 特別会員
米国胸部外科医学会(STS)国際会員
欧州心臓胸部外科学会(EACTS)国際会員
心臓血管外科専門医認定機構修練指導者
北里大学心臓血管外科客員教授
専門分野 大動脈疾患、心臓弁膜症の外科治療、心臓血管外科一般
贄 正基(にえ まさき) 部長、理事長
大学 北里大学(1988年卒)
資格 医学博士
日本心臓血管外科学会 心臓血管外科専門医
日本外科学会 専門医・指導医
日本胸部外科学会 認定医・心臓血管外科専門医
日本心臓血管外科学会 国際会員
心臓血管外科専門医認定機構修練指導者
北里大学客員教授
豊富 心臓、血管の手術は最近ではずいぶん安全になってまいりましたが、危険が伴うことも事実です。
患者さんに安全に手術を受けていただき、
最大限の社会復帰が果たせますよう最善の医療を提供したいと考えます。
柴田 講(しばた こう) 医長
大学 東京大学(1993年卒)
資格 日本外科学会 外科専門医
日本心臓血管外科学会 心臓外科専門医
心臓血管外科修練指導者
胸部ステントグラフト実施医・指導医
腹部ステントグラフト実施医・指導医
低侵襲心臓手術(MICS)認定医
笹原 聡豊(ささはら あきひろ) 医長
大学 金沢医科大学(2007年卒)
資格 日本外科学会 外科専門医
日本心臓血管外科学会 心臓外科専門医
胸部ステントグラフト実施医・指導医
腹部ステントグラフト実施医・指導医
経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI) 実施医
下肢静脈瘤に対する血管内治療 指導医
身体障害者福祉法指定医
大西 義彦(おおにし よしひこ) 医員
大学 浜松医科大学(2017年卒)
資格 日本外科学会 外科専門医
腹部ステントグラフト実施医
日本心臓血管外科学会 心臓血管外科専門医

臨床活動実績

手術症例の年次推移
心臓血管外科の手術症例の年次推移
手術症例内容(2023年):総計378症例
手術症例内容
学会発表
  • 大西義彦,榊健司朗,柴田 講,贄 正基 ,小原邦義
    腸管虚血を合併した急性A型大動脈解離にSMAバイパスを優先し救命しえた1手術症例
    日本胸部外科学会関東甲信越地方会. 2022年6月
  • 大西義彦,榊健司朗,柴田 講,贄 正基,小原邦義
    Frozen Elephant Trunkを伴った弓部置換後の慢性期にType Ibエンドリークを発症し下行置換を施行した1例
    日本胸部外科学会関東甲信越地方会. 2022年11月
  • 榊健司朗,大西義彦,豊田真寿,山本信行,柴田 講,贄 正基,小原邦義
    腸管虚血を合併した Stanford A 型急性大動脈解離に上腸間膜動脈バイパスを先行した1例
    胸部外科 76巻5号:375~378,2023
  • 大西義彦,榊健司朗,豊田真寿,山本信行,柴田 講,贄 正基 ,小原邦義
    腎細胞癌の転移性右房腫瘍の1例 胸部外科 76巻8号:652~655,2023
  • 石川沙弥,大西義彦,笹原聡豊,柴田 講,贄 正基 ,小原邦義
    右心系の圧排を来した心膜腫瘤の1例
    日本胸部外科学会関東甲信越地方会. 2023年11月

研修医・若手医師の方向けに、当科の紹介動画を作成しました。
当科の特徴や若手医師のインタビュー等をご紹介しています。

診療科・部門に関連する情報