臨床工学科は、臨床工学技士法に基づく国家資格を持つ医療技術者で組織されており、生命維持管理装置の操作・保守点検・管理と病院内にある医療機器全般にわたって管理を行い、チーム医療の一員として患者さまへのより良い医療・安全な医療の提供を目指しています。
11名の臨床工学技士が各部門に分かれ、透析室・手術室・医療機器管理室・心臓カテーテル室・集中治療室等をローテーションにて業務しています。
治療前の準備としてプライミング、HDF補充液の取付、透析液の電解質測定、回路点検を行います。
臨床では、治療開始時の穿刺および機械操作、治療中の時間毎点検、返血を行います。
治療が終われば片付け、装置外装の消毒、機械室内各装置の終了作業、血液回路の組立、点検を行います。
血液浄化療法が必要な患者さまが、術後や呼吸器装着中など移動が困難な場合、ICUや病棟へ出向き準備から治療中の管理などを行います。
単純血漿交換療法(PE)、血漿吸着療法(PA)、LDL吸着療法、エンドトキシン吸着療法(PMX)、顆粒球除去療法(GCAP)、白血球除去療法(LCAP)、持続的血液透析濾過(CHDF)、腹水濾過濃縮再静注法などの業務全般を行います。
白血球除去療法(LCAP)
顆粒球除去療法(GCAP)
LDL吸着療法
持続的血液透析濾過(CHDF)
水処理装置、血液浄化装置などの点検およびオーバーホールを定期的に行っています。
心臓の手術をされる患者さんの手術中の生命を維持するために日本体外循環技術医学会による安全装置施設基準勧告を尊守したローラポンプ型人工心肺装置、心臓を保護する心筋保護装置用い各種安全機能を有した管理操作を行なっております。
輸血量軽減を目的とした自己血回収装置も操作担当しております。
また、心臓の補助及び心臓に血流を増加させる大動脈内バルーンパンピング装置(IABP)を医師の指示のもと、臨床工学技士が専門性を活かし操作します。
右下写真:自己血回収装置と大動脈内バルーンパンピング装置(IABP)
心臓カテーテル検査では、多チャンネル記録装置(ポリグラフ)、超音波血管内エコー (IVUS)、大動脈内バルーンパンピング(IABP)、経皮的心肺補助装置(PCPS)などの操作や清潔野でのカテーテル関連機器の操作や医師の介助を行っています。
不整脈解析装置を操作し、細かい心内心電図を循環器医師と伴に確認し記録します。
また、診断に必要となる心臓内への直接電気刺激を行い、頻脈を誘発なども行います。確定診断が行われれば高周波装置による焼灼を医師の指示のもと操作を行います。
心臓ペースメーカや植え込み型除細動器、両室ペーシング用ペースメーカなどの植え込み術にも参加しています。臨床工学技士は、ペーシングアナライザーやプログラマーを操作して患者さまに最適な設定を行えるよう努めています。
また、ペースメーカ外来にも積極的に参加し、患者さんの安全を確保しています。
院内に存在する医療機器をシミュレーター、輸液・輸注ポンプテスタ、人工呼吸器アナライザ、漏れ電流測定装置などの点検機器を駆使しメンテナンス、保守、管理を行い機器の精度の安定を常に保っています。
医療機器は医療機器管理ソフトを使用し、保守の記録から現在の所在までをME機器室独自のバーコードにより管理しています。
下写真:輸液ポンプ、輸注ポンプ、人工呼吸器、除細動器、ベッドサイドモニタなど
またコンピュータにより貸出・返却・保守情報等を管理しており、使用状況や点検漏れ機器の確認が即座に行えます。
人工呼吸器の使用前には専用の校正器を使用し、定期点検時には時間毎の部品交換行うことで、故障の発生を防ぎ常に安全に使用できるよう心掛けています。
使用中点検は回路破損や設定と実測値の誤差などを点検します。人工呼吸器の実測値や点検状況をチェックリストに記載し正常動作を確認しています。
新入職員や医療機器取扱い使用者に対し輸液・輸注ポンプ、人工呼吸器、除細動器、ベッドサイドモニタ等の機器講習会や血液浄化、心臓カテーテル検査、心臓ペースメーカ等のセミナーを行っています。